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「クイズの甲子園」チーム戦ならではの見所とは?〜「第2回ニュース・博識甲子園」振り返り座談会・中編

2019/09/08 blog

2019年8月24日(土)に開催した「第2回ニュース・博識甲子園」(一般社団法人日本クイズ協会主催)の全国大会を、実況を務めたTBS・小林廣輝アナウンサー、解説の日高大介さん、問題作成の田中健一さん、「JQSグランプリシリーズ」初代王者の徳久倫康さん、日本クイズ協会代表理事・齊藤喜徳の4名に振り返ってもらいました。

 

世の中にたくさんあるクイズ大会の中でも、「ニュース・博識甲子園」は3人1組のチーム戦である点が一つの見所となっています。4人が印象に残った、チームはどこだったでしょうか?(文責 日本クイズ協会理事・楠井朋子)

 

 

チーム戦ならではの名シーン

 

――印象的だったシーンを教えてください。

 

徳久さん:決勝戦の序盤、大阪星光学院の誤答が続き、解答権が仙台二高に行くという場面がありました。相手から解答権が譲られた場合、3人のうち誰が答えるのかというのは、その場で目くばせしたり、雰囲気でやりとりしないといけません。これは普段、競技クイズの大会ではほとんど採用されない珍しいルールです。仙台第二のリーダーの川嶋くんは非常に強い選手なのでバンバン押してもよかったのですが、他の選手に解答権を譲ろうと制限時間ギリギリまで待っていましたね。

 

日高さん:3人1組っていうところも珍しいルールですよね。

 

徳久さん:はい、その通りですし、誤答した時に解答権を相手に譲るというのも高校生の大会ではあまりやらないルールです。そういう時にどう戦っていくか、事前にどれぐらい準備できるかが大事だと思います。また、大阪星光学院も途中から「誤答するとまずいぞ」と気づいて、全然誤答しなくなりましたよね。試合の途中で戦い方を変えていたというのが見えて、それが一番「おお!」と思ったところでした。

 

(写真左から、決勝で目配せをする大阪星光学院の山川くん、木村くん、三好くん)

 

 

準優勝・仙台第二に見た、仲間への思いやり

 

――小林アナは、気になったチームはありましたか?

 

小林アナ:準優勝した仙台第二でしょうか。決勝戦でチームメイトの川嶋くん、両方さんが先に5問というノルマを達成して抜けていく中、鄭くんがなかなか答えられず、最終的に負けてしまいました。鄭くんは悔しい表情をされていたのですが、「鄭さんが準決勝のボードクイズで正解したおかげでここまで来られました、ありがとうございました」とリーダーの川嶋くんがコメントをして、鄭くんの顔が緩んだんです。そこが僕にとってものすごく印象的でした。助け合いなんだな、過去いろいろあって積み重ねての今があるんだなと。

 

齊藤:事前のアンケートでは「鄭さんが時事問題対策をすごくやってくれたので、予選で時事問題をたくさん答えられました」と川嶋くんと両方さんが書いていたんですよね。

 

小林アナ:そうなんですよ。両方さんは「チームで唯一の3年生である鄭さんが受験中にもかかわらず、私たちのために対策してくれました。ありがとう」と事前アンケートに書いていたんです。本番前からもう思いやりが始まっていました。初めてのクイズ大会の観戦でそういう純粋な感謝という気持ちが見られたのが、僕にとっては良かったですね。

 

(左から順番に、決勝戦に挑む仙台第二の川嶋くん、鄭くん、両方さん)

 

 

準々決勝(1回戦)の大将戦、重要な役割を果たしたタイムアウト

 

日高さん:2年連続で進行・解説をやらせていただいたんですが、今年特に印象的だったのは準々決勝(1回戦)でのタイムアウトの使い方です。去年もタイムアウトをとっているチームはあったのですが、まだ少なくて。今年は5チームぐらいあったと思うんですけど、選手がちょっと危ない時に絶妙なところでタイムアウトをとって、30秒後、ピンチだった選手が清々しい表情になって戻ってくる姿が印象的でした。

 

 

――準々決勝(1回戦)の大将戦は、松本深志の楠くんが非常にスピーディーに点数をとっていたので、短期決戦となりました。「先鋒戦、副将戦とは試合の流れが違うぞ」というのを早めに掴む必要があり、タイムアウトが重要な役割を果たしたかもしれません。

 

日高さん:試合中に「この調子で行くと早めに何点取らないとまずい」ということを冷静に分析する「4人目の存在」というのが非常に重要な役割を果たしていたと思います。

 

齊藤:サポートメンバーがバラエティーに富んでいたのも印象的でした。顧問の先生がその役割を果たしているチームもあれば、 OB あり、同級生あり。確か仙台第二のサポーターは予選会にも出場していない、まさに全国大会のこのルールのために参加した生徒だったんじゃないかなと思います。

 

 

 

高校生クイズプレイヤーの特徴

 

日高さん:小林さん、あれってどう思いましたか? 勢いに乗ったプレイヤーが二連続、三連続で正解する場面。例えば、決勝での仙台第二の両方さんもそうでしたし。ああいう時って、クイズ的に止めちゃうと勢いが削がれちゃうというところもあるので流れを止めちゃいけないというところと、感動を伝えないといけないというところとあって、バランス、難しいと思うんですが。

 

小林アナ:やっぱり流れに乗っているところは盛り上げなきゃいけないのでちゃんと実況で煽るということは大切だなと思いました。アナウンサー的にいうと、僕は「線で伝える」というよりは「点で伝える」ことを大切にしていて、例えば「仙台第二、行った!!」というのを早口でなるべくコンパクトに言って、その後の要因分析は日高さんにパスすることを意識していました。

 

――クイズをやっている高校生の特徴について、発見したことはありましたか。

 

小林アナ:みんな、すごく謙虚だなって思いました。どのスポーツでもトップレベルの選手は謙虚なのかもしれないですが、負けても「来年はここを補っていきます」と。そういうところが強さに繋がっていくんだろうなと思います。僕が高校生の頃は生意気だったので(笑)。本当に見習わないといけないなと思いました。

 

 

 

日高さん:今までいろんな高校生のクイズ番組を手がけてきましたけれども、どの番組でも全国大会レベルだと皆さんやはり謙虚ですね。「ニュース・博識甲子園」の場合は、3人一組のチーム戦、学校対抗というのが余計にそういう風にさせる部分もあるかもしれません。学校や故郷を背負って来ているとなると、振る舞いまで見られるところもあると言うか。遠方のご家族が応援に来ているチームもありましたね。

 

 

 

 

(後編に続く)

 

▼「第2回ニュース・博識甲子園」振り返り座談会
【前編】「クイズはスポーツ」TBS小林廣輝アナがクイズ大会初観戦で感じた2つの愛
【中編】「クイズの甲子園」チーム戦ならではの見所とは?
【後編】 クイズ作家・田中健一さんが教える大会攻略法とは?(9月9日公開予定)

 

写真:日本クイズ協会


「第2回ニュース・博識甲子園」、Paraviで配信中

 

「第2回ニュース・博識甲子園」の全国大会の様子は動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で配信中。またParaviでは、昨年の「第1回ニュース・博識甲子園」、大会をより深く解説する「JQSクイズ情報局」も配信中です。

 

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